ナギナタアリ Opamyrma hungvuong Yamane, Bui & Eguchi 2008のワーカー。ベトナム中北部ゲアン省にて。ムカシアリ亜科の系統樹の最基部で他と分岐する(今のところ)一属一種の珍蟻。2008年にハティン省で採集されたワーカー2個体に基づいて記載されて以来、ほとんど未知のアリだったが、ここ数年で大きな進展があった。2020年に女王やオス、幼虫も含めた外部形態の記載(1)、今年は本種のムカデに対する捕食生態の一端を初めて観察することができた(2)。
Nikon Z 50 + Laowa 65mm F2.8 2X Ultra Macro APO
今年3月のベトナム調査で撮影した生きたナギナタアリの行動映像。毒針で麻痺させたナガズジムカデの体をしばしば熱心に舐めていた(毒針で刺したりしてできた傷口から滲み出る体液を啜っているのだと思われる)。どうも攪乱で有翅女王の翅が取れやすく(採集時に翅がぼろぼろ落ちていた)、このコロニーは脱翅した女王が大量にいる状況になっているが、おそらくほとんどが未交尾の個体だと思われる。
1) Yamada A, Nguyen DD & Eguchi K. 2020. Unveiling the morphology of the Oriental rare monotypic ant genus Opamyrma Yamane, Bui & Eguchi, 2008 (Hymenoptera: Formicidae: Leptanillinae) and its evolutionary implications, with first descriptions of the male, larva, tentorium, and sting apparatus. Myrmecological News 30: 27–52. https://doi.org/10.25849/myrmecol.news_030:027
2) Yamada A, Dang VA & Eguchi K. 2023. Natural history notes of the rare enigmatic ant Opamyrma hungvuong: A first glimpse of their preying behavior on centipedes (Hymenoptera: Formicidae: Leptanillinae). Asian Myrmecology 16: e016009. http://www.asian-myrmecology.org/doi/10.20362/am.016009.html
